親知らずが咬み合わせを破壊する

※親知らず(おやしらず)とは歯科用語でいえば「8番目の歯」と呼んでいます。上下左右4本に生えている場合もあれば、生えていない場合もあります。まれに5本の親知らずがある方もいらっしゃいます。親知らずは智歯(ちし)とも言います。顎骨にほぼ埋まっている状態の親知らずを埋伏智歯(まいふくちし)と言います。

親知らずは痛くなければ抜かなくてもいい、親知らずは歯がなくなった時に使えるかもしれないから抜かずにおいておいたほうがいい、歯を抜くのは良くないので親知らずを抜かないほうがいい、そう、お考えの方は多いと思います。親知らずを抜く時は、虫歯になったり、歯が腫れたり、炎症を起こした時くらいだろうとお考えです。

実際に、歯医者さんに通われている方でも「痛くないなら親知らずは抜かなくてもいい」とおっしゃられる先生も多く、お口の中に親知らず4本すべてが残っておられる方も多くいらっしゃいます。しかし、咬み合わせ専門の吉本歯科医院では親知らずはまず抜かれた方がいいですよとお伝えしております。全身的なご病気がおありになられる方で抜歯するためのリスクの方が高い場合を除き親知らずは抜かれた方がいいですよ、とお伝えしております。かみ合わせの専門として万を超える患者様を診察させて頂いております。その中で親知らずによって引き起こされた「他の歯への悪影響」、親知らずを置いておくことによって破壊された健康な歯の症例を見てまいりました。くの方はまだ親知らずを抜かずにおいておくことの恐ろしさをご存知ありません。

親知らずが健全な歯並びを悪くし、かみ合わせを悪くします。

親知らずはもともと生えてくるスペースが小さいにもかかわらず、生えてきてしまいます。となると、すぐ横の歯(健康なご自分の歯)を無理に押して出てくることがあります。その親知らずが健全な歯並びを悪くし、かみ合わせを悪くします。また、親知らずが斜めや真横に傾いて生えている場合は、かなり強い力で横の歯を押してきます。

親知らずが押す強力な力によってドミノ倒しのように健全な歯並びを乱し少しの咬む力で前歯が折れてしまうことがあります。

「前歯が前に飛び出してきたので前歯を引っ込めて欲しい」といった患者さまのその原因となるものが親知らずを放置しておいたことによる歯並びの悪さ」というケースは決して少なくありません。と言うより、こういうケースが本当に多いのです。

親知らずは虫歯になりやすい

そして親知らずは非常に磨きにくい場所でもあります。プロであっても自分自身で磨くのは困難な場所でもあるのです。どうしても汚れがたまり、虫歯になりやすいのです。親知らずだけが虫歯になってくれるのであればいいのですが残念ながらそうはいかず親知らずの隣の歯まで虫歯菌は歯を溶かしていのです。

親知らずを抜かずに放置していることによる弊害

「親知らず」について吉本歯科医院、院長吉本彰夫の考えをお話します。


お伝えしたいことは、「親知らずを抜かずに放置していることによる弊害です。意外にも知られていない「親知らずが引き起こすあらゆる悪さ」をお伝えしていきます。あなたはご自身のお口の中に「親知らず」が何本残っているか、ご存知でしょうか?もともと「親知らず」が生えてこない人もいますが、だいたいの人が上の左右に2本、下の左右に2本、計4本の「親知らず」が生えてきます。そこで「親知らず」についてですが、ひょっとしたらあなたはこんな風には考えていませんか?親知らずは痛くなければ抜かなくても良い。または、生えてきてから抜けば良い。「親知らず」に関しては、本当に患者さんからよくご質問を頂きます。

 

「親知らずは抜いた方がいいんですか?」
「親知らずは置いておくと将来使えるんですよね?」
「親知らずは抜かずにほうっておくとどうなるんですか?」

 

また、「親知らずを他の医院で抜かれてしまったんです」そんなことで私の医院に来られる方も多いのです。親知らずは抜いた方がいいのか?抜かなくてもいいのか?をお話する前に、「親知らず」とはそもそもなぜ「親知らず」と言うのか?についてお話します。親知らずは8番目の歯になります。かつて昔は、この8番目の歯はあっても良かった時代がありました。歯の本数は「親知らず」4本分増えますから、28本+4本で全部で32本になります。歯の本数は1本でも多いほうがいいじゃないか!そう思われますよね?

親知らずはだいたい20歳~40歳頃までに生えてきます。ですので説1.「親元を離れる頃に生えてきて、親が知らない」説2.「生えてくる頃にはすでに親が死んでいる」などと言われています。

今と違って、昔の人の寿命は長くて50歳、平均寿命は40歳前後でしたし、30歳代で死んでしまう人だって少なくはありませんでした。さて、 「親知らず」は
痛くなければ抜かなくて良い
生えてから抜けばいい
おいておいたら将来使えるかもしれない
歯が抜けたらその部分に自分の親知らずを移植するかもしれない

だから、抜かずに置いておきましょう、 とおっしゃられる先生もいらっしゃいます。私も大学時代には「親知らずは悪さをしなければ抜かずに置いておいてもいい」と教えられました。今でも大学によってはそのように教えていると思います。しかし、私吉本彰夫は、親知らずに関しては「99%の場合悪さをするので、抜いた方がいい」と考えています。親知らずは8番目の歯になります。


その8番目の親知らずですが、その手前の6番目の歯、7番目の歯と同じようにまっすぐ出てきたならば、そのまま抜かずに置いておいてもいいと思います。また、残念ながら親知らずがまっすぐ生えて出てこられるほどの顎のスペースを持つような骨格の方は、今の現代においては非常に少なくなってしまいました。顎の成長発育というのは「噛む」ことによっても得られますが、舌の力、いわゆる顎を内側から外側へ押し広げる力、食生活の内容、これによって日本人の体型、そして骨格は急激に変わってしまいました。親知らずがまっすぐ生えて出てくるような顎のスペース、つまり余裕はないのです。こんな状況ですので、ほとんどの方の親知らずは曲がっております当院で「この親知らずは曲がっているので、抜いた方がいいですよ」というお話をしたとしても「以前、他の医院さんで、まっすぐ生えているので大丈夫ですよと診断を受けた」いう方もいらっしゃいます。残念ながら、目でみた表面的にはまっすぐに見えたとしてもレントゲン上ではまっすぐではないことが非常に多いのです。また、親知らずがもうすでに飛び出てきていることも多いのです。ですので、そのまま置いて、まっすぐなのでいいと判断しても仕方ないような方もいらっしゃいます。しかし、残念ながら親知らずはものすごい勢いで出てきます。飛び出していきます。

ちょっとでも歪みがあれば、それは他の健康な歯にものすごい悪さをします。もし可能であれば10代のうちに親知らずを抜いていただきたいと思っております。吉本歯科医院で矯正治療、いわゆる歯並びを治す治療、小さいお子さんが歯がガタガタで噛めないとか、そういう場合には将来、矯正装置をはずす前に「親知らずを抜く」ということが条件です。

 

「親知らず」というのは真正面から数えて8番目の歯になります。あなたは、ご自身のお口の中に歯が何本あるかご存知でしょうか?歯は、上下左右7本ずつです。通常は7本×4で28本しか歯はありません。しかし、「全部で28本あるから、まあ、1本2本抜けても」とお考えになられる方って本当に多いんですよね。「親知らず」というのは8番目の歯です。日本人の骨格的な話しをすると、8番目の親知らずが手前に並んでいる6番7番と同じように真っすぐ生えてきている方って、実は私見たことがないんです。今まで患者さんのお口を何万人て診てきたわけですが、「この親知らずは抜かずに置いておいて良かったね」という人は、何万人のうちほんの数人です。それぐらい少ない。

「親知らず」がこういう風に斜めに生えてきた場合どうなるのか。イメージ的には満員電車を思い浮かべていただくとイメージしやすいかと思います。東京や大阪に行って、朝の通勤ラッシュの時間帯に電車に乗ってみてください。満員電車に乗っていて例えば隣り合う人との間にカバンが挟まったとします。

そのカバンてどうでしょう?スっと取れますか?取れませんよね。この状態がお口の中でも起こっているんですね。「私は毎日ちゃんと一日3回一生懸命歯ブラシをして掃除してます」とみなさんおっしゃられるんですが、歯と歯の間っていうのは、ものすごい窮屈ですから詰まった汚れは取れないんです。
歯ブラシをしても取れない。
歯間ブラシをしても取れない。
また、フロスも使っていない方の方が多いです。

フロスは非常に有効な歯と歯の間の清掃道具です。私が日々使っているフロスはこんなものです。

歯と歯の間は、フロスでなければバイ菌を取り除くことは、できません。もし、私が歯ブラシかフロスか?どちらが優先か?と質問されれば迷わずフロスを取ります。それほど、重要なものです。親知らずに押されて歯と歯との隙間にはどんどんバイ菌がはいり、そのバイ菌は取れないから何度治療してもどんどん悪くなっていきます。よく何度治療しても同じところが繰り返し悪くなると訴えられる患者さんは、本当に多いです。満員電車の中に、頑張って立っていることを想像して下さい。なんとか潰されないように倒れないように踏ん張って立っています。でも、次々に駅に停まる度に通勤客が乗り込んでくるわけです。その場所でじっと立っていられますか。テレビでみたことありますよね?ダダダーッって流されますよね?全部押しつぶされます。これと同じことが口の中でも起こっているんです。「親知らず」がある限り、何度詰めなおしても被せても、強い力が加わりますので、はずれてしまうのです。そして歯は一生動き続けます。歯は日々わずかですが毎日動いています。数ミクロン単位で微妙に動いています。全ての歯は一生動き続けるんです。診療室で実際に患者さんの歯に指を当てて頂いて実感して頂くまではみなさん一様に「えっ?歯って動くんですか?」と驚かれます(笑)歯は一生動き続けます。矯正治療したから大丈夫。歯周病治療したからもう大丈夫。なんてこと、歯には絶対ないのです。一生歯は動き続けます。ですので、歯が動かないように、噛み合わせのいい場所で固定し続けてやるということがとても必要になってきます。そのために私は夜、眠る前には必ず噛み合わせを固定するために、歯を動かないようにするために専用のマウスピースを装着します。

一番歯が動きやすい時間帯が、夜、寝ている時間だからです。無意識に歯軋りをする時間帯が、眠っている時間です。満員電車と同じことが口の中で起こっているとお話しました。キュウキュウの中に閉じ込められますので、一番弱い人が弾き飛ばされます。その流れによって一緒に動かされていきますよね。つまり親知らずは後ろから前、後ろから前へと押すことによって何が起こるのか。手前の歯と歯の間ここがまずやられ、そして前方へ前方へ押されます。まず8番目の手前7番目を押し、6番目を押し5番目を押し4番目を押し2番目1番目、一番弱い1番目2番目の歯ってものすごく押されてしまいます。ても多いご相談で、中学校高校生位の時には、下の前歯はきれいに並んでいたのに、30代、40代になって下の前歯がズレてきた奥に入っていった
前に飛び出てきた
上に飛び上がってきた。
特に、40代後半になって、前歯が一気に前に飛び出したり、奥にずれたり歯並びが崩れてきた。

これは一体どうしたことか?このような患者さんとても多いです。そういう方はまずは「親知らずはどうか?」そういうことを含めて疑ってみるべき必要があると思います。

それはパノラマレントゲンという大きいレントゲンを撮ればすぐに分かります。さあ、いかがでしょうか?だんだんと「親知らずを抜かずに置いておくことの恐ろしさ」がおわかりいただけてきたでしょうか?「噛み合わせ」に深く影響を及ぼしていることの一つが実はこの「親知らず」なのです。

親知らずが原因で起こるさまざまな症状

前歯が飛び出てきた

奥歯が痛い

歯並びが崩れてきた

顎が痛い

顎がカクカクする

そして実に多いのは親知らずが押してきた力で隣の歯を押しつぶし隣の歯の神経が死んでしまっていた。親知らずが押してきた力で隣の歯に穴を空け、隣の歯に亀裂が入っていた。などです。

まさか、「親知らずが原因だったなんて・・」と皆さま驚かれます。「虫歯だと思い込んでいました」と驚かれます。

恐ろしいですよね。

親知らずが原因で隣の歯の神経まで突き破ってしまうのですから。その破壊力たるやすごいものなのです。

 

親知らずの破壊的な力は被せ物や詰め物を破壊していく

親知らずは歯並びだけでなく被せ物や詰め物(補綴物)を次々に破壊していきます。金属アレルギーを起こさないノンメタルの材質でいいものに置き換えたとしても親知らずによる破壊的な力によりどんなにいい材質を入れたとしても破壊されていくのです。

など、親知らずが原因で起こっている症状は数えきれないほどあります。上記のような症状が出た場合、患者さまは「まさか、親知らずが原因だったなんて!」とほとんどの患者さまは驚かれます。しかし、親知らずを抜いてみると、顎の症状が改善されたりなど、奥歯の痛みが消えたりなどといったことが起こります。顎関節症の症状など、スーッと消えてくる場合もあります。これは顎の骨が親知らずがあることでスムーズに動かなくなっていたことが原因です。 

また、親知らずが押してくる力により隣の健康な歯を突き破り神経を切断してしまっというケースも非常に多いのです。親知らずがある限りどんなにいいノンメタルの金属アレルギーを起こさないような被せ物や詰め物をしたとしてもすぐに破壊されてしまう理由はここにあるのです。

歯科治療に最も重要なことは「咬み合わせ」なのです。

正しい咬み合わせとは

 

親知らずの破壊的な力は骨や歯も破壊していく

【症例 1】「親知らず」の影響で歯を支える骨が溶けます。

具体的にはどんなことが起こるのかと申しますとこのレントゲン写真は40代の方です。

8番目が親知らずです。横に向いて生えていますね。親知らずの手前の歯7番目、その手前の歯6番目、どうなっているでしょう?6番目は斜めに倒れて、かつ、上に上がっていますね。親知らずに押し上げられているんですね。このレントゲン写真でもう一つ重要なことが、あります。それは、親知らずのすぐ手前の7番目の歯の根っこをご覧下さい。歯を支えている骨が溶けているんです。レントゲン写真というのは硬いところが白くうつります。
5番目の歯の根っこのあたりは歯の根の周りがまだもや~っと白くうつっています。これは「骨」が写っているんです。しかし、7番目には、骨が、ないさらに6番目の根っこの7番目よりのあたりまで骨が溶けています。7番目の歯を支えている骨が全然ないのです。6番目の歯を支えている骨が後ろ半分ないのです。ということはこの7番目の歯はグラグラに揺れています。
抜かなければならないということです。ほっといてもそのうち勝手に抜けます。「親知らず」を抜かずに放置しておいたために、その「親知らず」が横に押し上に押し、さらにこの7番と8番の間に溜まったバイ菌が取りきれないわけです。ここはどんなにご自身で歯ブラシをしても、フロスをしてもばい菌を取りきること は出来ません。

我々プロフェッショナルによるPMTC(歯の予防治療)でも取り除くことは本当に難しいのです。バイ菌は、どんどんどんどん根の奥に押し込められるわけです。どんどんどんどんバイ菌はここで繁殖していくわけです。どんどんどんどんこういう風に骨が溶けてなくなる。

日本人が歯を失う原因の一位は、「歯周病」です。歯周病とは、歯を支えている骨が溶ける病気のことです。歯を支える骨が溶ける原因は3つあります。

(1)口の中の細菌によるもの(細菌感染)
(2)噛み合わせから起こる過剰な力「破壊的な力」
(3)(1)と(2)の組み合わせによるもの

(1)のお口の中の細菌が原因で骨が溶けるのは理解しやすいのですが、(2)の噛み合わせによる「破壊的な力」が原因で骨が溶けるということは患者さんはもちろん歯科医師ですら重要視していない方がいらっしゃいます。

歯を支えている骨がどんどん溶けてしまう、これって恐ろしいことだと思いませんか?「親知らず」を抜くか抜かないか、置いておくかどうか?「別に残り28本あるからいいじゃないか」、そんな話しではないのです。「親知らず」は抜かずに放置しておくと、他のご自身の健康な歯を殺してしまうわけです。また、「親知らず」は残しておいても斜めになっていますので、「噛む」ということに関してはそんなに役に立たないわけです。

しかも6番目、見えにくいですが、歯を支えている骨が根っこの後ろまでないのです。「親知らず」のせいで、その横の7番目の歯が駄目になったので7番目だけ抜い・・・・では話しはすまないのです。7番目、6番目、そして8番目、下手したら3本抜かないといけない。そういう風に将来広がって行きます。「親知らず」を抜かずに放置しておいたためにです。

【症例 2】「親知らず」の影響で他の歯が押し出されます。

さて次のレントゲンをご覧下さい。親知らずの手前の7番目の歯、上に飛び出てますよね。

グイグイグイと「どけどけどけ!」と。いまだにこの「親知らず」活発です。このままほっといても7番目は抜けてしまいます。「親知らず」が原因で7番目の歯が勝手に抜けちゃうわけです。飛び出て行っちゃいます。30代、40代になったから「もう私、親知らずなんて関係ないわ」50、60代になって「もう体力ないから抜きたくないわ」なんておっしゃられる方がいますが、親知らずは抜けなくても、ご自身の健康な歯が親知らずの悪さによってどんどん抜けていってしまいます。歯が揺れだすか、腫れるか、何かしらの悪さを始めます。年齢に関係ないということです。ですから、親知らずは、早いうちに抜いた方が絶対楽なのです。傷の治りも腫れも若い時の方が楽です。60代でやむなくヒィーヒィー言いながら抜かれる方を見ていてそのように感じます。また将来、歯がなくなれば、新しく歯を増やす治療、インプラントすればいいやとお考えの方も注意が必要です。ほとんどの骨が溶けてなくなっていらっしゃる患者さんも多いのですが、最終的に骨が残っているのは前歯部分になるのですが、この部分だけだとバランスが悪かったり強度的な問題が出てくることがあります。この時に親知らずがある上顎結節と呼ばれる部分だったり、下の奥骨を利用できれば、とても安定性の良い構造体にできます。しかし、親知らずが残っているということは、そこには骨が無いということになります。このようにして噛み合わせが崩れていく前には、歯がズレていってガタガタになったり、飛び出していって勝手に抜けたり、揺れたり本当にいろいろなことが起こります。以前、私が講演会でお話させて頂いた時に、ものすごく共感を得た内容がありました。その時は講演会に、少林寺拳法の方が来られていました。スポーツをされている方にはとても理解できる内容だったんですね。「先生、おっしゃること、本当によく分かります」と特に共感を頂きました。

【症例 3】スポーツ選手などに「親知らず」が与える影響

このレントゲン写真をご覧下さい。

スポーツをされている方です。こういう症例は実は本当に難しいんです。この写真を見ると、ほとんどきれいな歯なんです。白く光る部分がほとんどありません。ところが、1本だけ、2本だけ、歯科治療をされていました。そして、この歯は根っこの治療までされています。ほとんど虫歯なんかない。
治療なんかしたことすらない。でも必ずいつも同じ歯が何度も悪くなる。左上の歯は神経まで治療されています。1回目や2回目の治療で神経まで治療されません。ほとんどの歯を綺麗に磨いて、この歯だけ磨き残しをできますか?口の中は感染症です。口蹄疫でも、たった豚1頭の感染の疑いで悲しいことに飼育の3882頭殺処分となりました。この1本だけ感染症で他の歯は感染症にならないなんてないんです。つまり細菌が原因ではないため、どんなにお掃除しても再発するのです。こういうケースは、柔道とか空手とか少林寺とか格闘系の方やゴルフのように瞬間的に大きな力がかかるスポーツに多い気がします。「親知らず」があって、その手前の歯が押し出されて、歯が飛び出て段差ができてるんです。なんで歯はこんなに本数がいっぱいあるのか。必要なのか?100キロ200キロって力がかかるわけです。これがスポーツ選手のように筋肉のある方は上の6番目の歯が突然割れてくる、欠けてくる、そういうことまで引き起こされていきます。歯なんか磨かなくても虫歯なんか1本もできなかったといわれる方で、親知らずによって噛み合わせが狂って突然歯が欠けてくる。割れてくる。大きい荷物は大勢のいっぱいの歯で力を分散して、みんなで力をわけわけして支えるというのがすごく大事なわけです。実質歯はいっぱいあるんですけど、頑張ってるのはこの2、3本だけなんです。本来はこういう風になってます。

頭頂を中心としてコンパスで円を描くような弯曲、上下がほぼ同じ弯曲、上下の弯曲の隙間が均等に空いていて、噛んだ時にピタッと合う。本来はこのようになっているので、磨り潰しができます。ところが、さきほどのレントゲンを見ていただくと、ダメージを受けている歯の部分だけ間隔がすごく狭いんですね。

反対側の親知らずの部分も狭いですね。例えると、8人で担がないと担げないお神輿があって、8人いるんだけど、実質1人や2人が頑張ってて、あとはいるだけでサボってる(笑)。そんな状態です。

だから、ここばっかり頑張っている。

何回も割れるんです。何回もダメになります。他は悪くない。他は全然悪くない。歯を磨いてないから、歯が磨けてないから歯がダメになると思ってる方多いでしょう。歯科医師でもそう思っている方多いんです…。ここだけ歯を磨かないなんて出来ないですよ。磨けてない人は、実は全部の歯が磨けてません。隣り合う歯も磨けていません。だから、ここは感染症ではなく、この歯だけの原因による問題なんです。これは下の「親知らず」が原因となります。スポーツ選手でも筋肉は鍛えているけど、歯を鍛えていらっしゃる方を聞いたことがありませんし、歯は鍛えられないのです(――;)歯というのは頭でっかちです。8番目と7番目、歯というのは頭があり根っこがあるんですけれども、頭でっかちなんです。7 番目の首根っこのへっこんだところに8番目の歯が突っ込んできたらどうなるでしょう。

頭でっかちが7番目の頭でっかちの下に潜り込むような形になってきます。
ですので、このままじっとしておいてくれたらいのですが、ところが親知らずは出たがりです。手前の歯が引っかかったままグイグイグイと押し上げます。そうすると7番目6番目が噛み合わせの位置がだんだんと飛び出てくるわけです。時代劇のテレビでよく忍者が壁を登る時、どうしてるでしょうか。ピョンと飛んで登れない時どうしてるでしょうか。誰か一人が壁際に立ち手で足場を作り、そこへ忍者が走って行き、その人によって上にポンと放り上げられることによって塀を乗り越える、そういう風になっていますよね。それと同じようなことが歯でも起こるんです。手前の7番目6番目の歯が突き上げられて飛び上がっていくのです。この7番目6番目が飛び上がってくると何が起こるんでしょうか。全体が均等に噛めていたにもかかわらず、その飛び上がっていたところだけが最初に当たってしまいますよね。先に当たりますよね。そこを「早期接触」と専門用語では言います。そこに当たりますから、その相手の上の歯がどんどんダメになっていきます。上の6番目7番目がその力にとって支えることが出来なくなっていきますので、揺れていきます。上の骨と下の骨は骨の硬さが違います。上の骨は非常に柔らかく、下の骨は硬いのです。

そして下の6番目7番目は、その8番目の歯によっても支えられています。つまり非常に下の歯は頑固な強固な状態です。ですから上の歯が揺らされます。虫歯なんか1本もなかったという方が、突然歯が割れてきた、などもそうです。上の6番目、7番目が揺れていってしまうのです。この早期接触があると、均等に楽に噛むことが出来なくなりますので、無意識に顎をこねるようにして動かすようになります。そうすると顎の関節つまり顎関節に無理な力がかかり、これが原因で顎関節症になられる方も多くいらっしゃいます。顎関節症の患者さんで親知らずを抜くと顎が楽になった、左右均等に噛めるようになった、とおっしゃられるゆえんであります。

【症例 4】「親知らず」の影響で神経が圧迫されます。

次のレントゲンです。

わかりやすく手前の7番目の歯の後ろ側の根と神経血管部分にラインを引いています(本来は右の歯のように神経血管が通っているトンネルの状態ですので、黒い線となって写ります)。「親知らず」8が6、7に対して横にむいてきてるわけですね。今後どうなると思いますか?神経が圧迫されて痛いのです。横に倒れていますから、自然に待っていても絶対生えてきませんね。
ほっといても上向きに出てこないですから、生えてきたら抜きましょう、歯茎に隠れてるから抜くのたいへんですから、腫れますからっていって置いておくと、こんな風になってしまうのです。

どうなってしまったか?わかりますか?親知らずによって、手前の歯の神経がちょんとブチ切られていますよね。昔のゲームに「パックマン」ってありましたよね。そんなイメージでしょうか。食べられてしまっています。ものすごく痛がりますよね、この患者さんは。とても痛いと思います。歯の神経血管は顎の後ろから顎骨の深い部分中を通って歯の根から入っていきます。
ここをちょんと切られるわけですから、とんでもなく痛いのです。「何とか歯を残してください、親知らずを抜きますから」と患者さんはおっしゃいました。しかし、すでに7の神経が切れていますから、指が切れて落ちてるわけですから、死んだ人をよみがえらせてって言われても残念ながら手遅れなのです。無理なのです。なので、「親知らず」は他の歯に影響が出る前に抜いたほうが良いと私は思っています。また、磨けない磨きにくいということも分かると思います。磨けないということによって何が起こるんでしょうか。8番目と7番目の歯の間に汚れが溜まっていきます。そこが磨けないので腫れていきます。これを智歯周囲炎と専門用語では言います。「親知らずが腫れて痛いんです!」と言われる方のほとんどがこれであります。ですので親知らずを抜かないといけないという診断になるわけです。これが、この時に抜けばいいんです。けれども実はそうなった時には抜けないんです。腫れてますから。腫れてる時って歯は抜いてはいけない、抜けないんですね。なぜかといいますと、麻酔が効きません。麻酔をパンパンに腫れているところにしますと、パンパンの風船にさらに空気を入れ込んだらどうでしょう、バーンと弾け飛びますよね。圧力がかかって、バイ菌がさらに奥に押し込められてしまいます。そのようになりますので、そんな弾けてるところに麻酔薬を注射したら、ものすごい激痛になります。…読んでいるだけでも痛そうでしょう?(泣)麻酔という名の下にものすごい痛みになってしまうわけです。このような状態では痛くない麻酔はできません。我慢していただくしかないのです。「こんなに痛いのに先生ひどい!なんとかしてよ!」と言われても、痛み止めのお薬を処方するしか方法がないのです。ですから通常腫れているときには、腫れを薬で抑えて2、3日から1週間待ってから歯を抜く必要があります。また、腫れてると言うことは、つまりうっ血している状態ですから、そんな状況で歯を抜いたらどうでしょうか?ダムの決壊と一緒です。血が止まりません。健康な歯茎ではないわけですから、一気に血が溢れ出してしまうわけです。抜いた後に血が止まるか止まらないか、これも大事な問題です。ただ抜けばいいという問題ではありません。その抜いた後キチンと血が止まるのか、痛くないのか、きれいに傷が治っていくのかどうか、それも抜くということにおいては大事なことです。ですから、そのように腫れてしまった場合には、化膿止めや胃薬や痛み止めや腫れ止めなどを飲んで腫れを引かせて、それから抜く。ということが身体にやさしい治療となります。また抜くにあたっては親知らずの根っこの場所、位置によっては、その根っこの先が神経や血管に近い場所にあったり、鼻の部屋に潜り込んでいたり、することがあります。この場合には口腔外科の専門医において抜くことをお薦めしております。レントゲン上では透けて見えますから、神経血管の位置と根っこの位置がズレていても、重なっていてもすべて同じ写真に見えてしまいます。神経、血管の位置と根っこの位置がまったく外れていても、右にいようが左にいようが、重なっていようが、神経と根っこが絡みついていようがレントゲン上では全く同じ写真に見えてしまうのです。レントゲン写真を見て、それでもって歯を抜きやすいのか、抜きにくいのか、そういう正確な診断はつかないのです。ですので、そういう風にたまたま当たる人、1%とか何千人に1人とかかも知れません。しかしながら、それに当たった人は残念、不幸なことになります。ここで「平面写真」と「現実の立体物体」の差について、写真を交えて説明します。下の写真をご覧下さい。

正面から撮影した手ですが、指が2本見えています。

違う方向から撮影したら指は3本うつっています。さらに一本目と二本目との間隔は開いていますが、二本目と三本目との間隔はほとんどないことがわかります。このようなことが現実に歯科の治療現場で起きているのです。
このように平面画像で見た場合だけでは、実際の物体がどうなっているのかを正確に診断することができないということが言えます。平面写真やパノラマレントゲンの写真だけでは「抜いてみないとわからない」「インプラントを埋めてみないとわからない」ということが現状です。親知らずを抜いた後はどうなるのでしょうか?ズラされてしまった7番目や6番目、はたまた正面の小さな前歯たち、どうなると思いますか?元の位置に戻ってくれると思いますか?これ以上倒れないでそのまま残ってくれると思いますか?イメージしてくださいね。家にトラックが突っ込んできました。大黒柱にぶつかって、大黒柱が傾いて今にも倒れそうです。トラックはさらに加速しようとエンジンをふかしています。大黒柱が、6番目7番目の歯に相当し、トラックが親知らずだとお考え下さい。8番目の親知らずを抜きました。トラックを除けました。いかがでしょうか?大黒柱は元はまっすぐな位置に戻るでしょうか?大黒柱は重い屋根を支えています。大黒柱が傾いた家で、地震が来たらどうなるでしょうか?常に噛む力がかかる訳です。当然、傾いた大黒柱が元の真っ直ぐな状態に戻ることもなく、倒れていきます。倒れないようにするために補強が必要です。場合によっては、起こし上げることが必要になることもあります。ただトラックが常に押し続けるという状況は回避されていますので、倒れるスピードは緩やかになります。早めの抜歯をお勧めします。また、親知らずが手前の歯の骨を溶かしていた場合、手前の歯を押し壊して穴を開けていた場合,抜いた後はどうなるのでしょうか?寒い朝、寝起きに布団を引っ張りはがされた状態をイメージしてみてください。私も真冬の朝に「起きなさい!遅刻です!」と言われ布団をはがれる瞬間に、「ひ~~」と叫びたくなるほどつらいのですが、すごく寒いですよね。腫れた歯茎があったことによって、冷たい水や空気に触れずに済んでいたのですが、悪いものがなくなりますので、当然しみたり痛んだりします。それは抜いた傷が治ってから検討することになります。残念ながら、神経を取らなければ日常生活が困難になられる方もいらっしゃいます。しかしそのようなデメリットを考えてもそのまま置いておくデメリットよりも将来的に手前の歯が残るというメリットは大きいと思います。大きいパノラマレントゲン写真で現状を確認しておくということが本当に大切なことなんですね。2回にわたってお話してまいりました「親知らずを抜かずにおいておくことの怖さ」です。いかがでしたでしょうか?どうぞ知って下さい。お口の中のことを。治療の主人公は、歯科医師ではなく、患者さんご自身なんだということを。自分の体は自分で守れるということを。私の医院では、「100%親知らずの抜歯」をおすすめしております

親知らずが手前の歯がじゃまで手前の歯を押した場合にどうなるのか?

親知らずは頭と根っこがあります。手前の歯にも頭と根っこがあります。そしてその根っこを支える骨があります。親知らずが成長していく過程において、手前の歯の骨にまずぶつかります。その骨を溶かしながら手前の歯にぶつかっていくのです。手前の歯にぶつかった時にどことぶつかるのか?前の歯の硬い頭の部分、いわゆるエナメル質というところに親知らずの頭がぶつかっていけば硬いエナメル質同士がぶつかります。エナメル質は宝石でいう水晶くらいの硬さがあるのです。硬いもの同士がぶつかりますから次のところにその衝撃はいきます。手前の歯にその力は押し寄せられるのです。手前の歯の根っこに親知らずの頭がぶつかった時、手前の歯の根っこは柔らかいです。そこに親知らずの頭が突っ込みますから手前の歯の根っこは削れてしまいます。手前の歯の根っこには神経や血管がありますから、その近くまで行くと神経や血管が疼いたり、痛んだりします。穴があけばそこに食べかすや唾液や細菌が入ってくれば痛んだり疼いたり、熱いもの冷たいものが響くようになってしまうのです。次に頭と根っこの境目にぶつかった場合。その柔らかい部分だけがえぐれて、硬い部分はひびが入るというような状態になります。そしてそこに物が挟まると物は歯ブラシをしたくいでは取れませんから、バイ菌がそこで繁殖していきます。バイ菌が繁殖するとその歯の表面を溶かしていきます。さらに柔らかい根っこは大きく穴があきますし、硬いエナメル質の部分はひびが入り、穴があいていくのです。頭と頭がぶつかった場合、エナメル質同士がぶつかった場合は簡単には壊れたり穴があいたりしません。ですので手前の歯だったり、本来の噛み合わせの場所ではない上のほうに持ち上げられたり、噛み合わせの相手のほうに歯が飛び出していったりということがおこってきてしまうのです。そして手前の歯は大きいですから大きい歯が手前手前と倒れていくと、その手前には小さい歯があります。小さい歯のところに大きい歯がぶつかってくると小さい歯のほうが弱いですから、小さい歯が壊れたりします。歯が生えてくる順番は6番目の大きい歯が一番早く生えてきます。ですからすでに7番目の歯が生える頃には6番目の歯は何年もそ力を受けておりますから、まあいわば弱っている状態です。壊れやすかったりするのです。削って金属の詰め物が入ったりして補強されたりします。そして押された場合、手前の歯エナメル質、宝石の水晶のような硬さですが、そこに金属がぶつかっていった場合には、金属の詰め物が外れることもありますし、手前の歯が壊れていくこともあるのです。そして押し寄せられたところで修復をすることになりますから、できる範囲のところでカブセ物をしたり詰め物をします。ただ押している原因はそのままですから、また何度も同じ原因で壊れていくということが起こります。すごく噛み合わせがいい方の場合、親知らずが手前の歯を押すんですけれども、押さえ切れないこともあります。その場合は押し戻されることもあります。戻れないので、根っこが奥深くに潜り込むこともあります。神経や血管の近くのほうに。生えてきた頃は神経血管と親知らずの頭は場所が離れていたにもかかわらず、根っこが奥深く食い込むようにいくことで、神経血管の近くに根っこがいってしまい、抜歯・親知らずを抜きにくくなったり、抜く時に出血したり、痺れが出やすくなったり、いろんなことが起こりえます。ですので親知らずの抜歯は抜けるようになったら、早ければ早いほどリスクは少ないと考えられます。

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