自分の体内に入れるものという自覚
通常、貴金属そのものは身体に対して無害なものです。
しかし、体から出る汗や唾液などの体液と交わることにより
金属がイオン化を起こし溶けだします。
皮膚や粘膜のたんぱく質と結合することにより
「自分の体に合わないもの」と認識し
身体が拒絶反応を起こすのです。
イオン化した金属が体内に取り込まれてしまうことで
汗をかいた時に、かゆみが出たり、湿疹がでたり、ということが起こります。
湿疹や、かゆみだけの症状が出るだけではとどまらず、
金属アレルギーの最も恐ろしいことは、
一度体内に取り込まれた金属は、体内から全てを取り出すことができない
ということです。
重要なことですのでもう一度
一度体内に取り込まれた金属は、体内から全てを取り出すことができない
取り込まれた金属イオンは体内のタンパク質と結合します。
水俣病ってご存知ですか?
水銀汚染による公害病ですが、原理は全く同じです。
このタンパク質と結合した物質が私たちの体内に入り込むと
「それは異質なものである」と身体が認識し、
アレルギー反応を起こし、皮膚や粘膜を破壊していく
これが金属アレルギーのメカニズムです。
金属アレルギーの特徴は、花粉アレルギーなどのようにある物質に対して、
短期的にくしゃみや鼻水などの症状が出るものとは違います。
ある程度、金属の量が体内にたまり続け、その許容範囲のコップがいっぱいになった時点で、
一気に表面に溢れ出てくる遅延型のアレルギーです。
人によって溢れ出てくる時期が違います。
あふれ出ない人もいます。
発症するかしないかは
その方のお身体にどれだけの許容量があるかによって違ってきます。
その人その人によって
許容できるコップの大きさが違うのです。
今までは平気だったのに
ある時期から突然かぶれ出した
とおっしゃられる患者さんがいらっしゃいます。
それは発症するまでにもコップの中にどんどん金属は流れ込んできていたのです。
いよいよご自分の許容範囲を超えてあふれ出てしまったので
かぶれや発疹といった症状が出たというわけなのです。
ですので、「今は、何の症状もない」という方でも、数年後、将来に、
「ある日突然発症する」という可能性があります。
ピアスやネックレスなどによる皮膚症状は目に見える部分に接触し発症しますからその原因に気がつくきっかけになります。
今は、何の症状もないからといって
溶けだす金属を注ぎ続けていれば
将来発症する可能性は大きくなります。
金属アレルギーを起こさない装飾品を身に着けるにこしたことは、ありません。
ネックレスやピアス、時計や下着の金具
これらはもちろん金属アレルギーを引き起こすものです。
歯科材料による金属アレルギー
しかし、盲点となっていることがあります。
それが
お口の中の金属です。
「歯科材料による金属アレルギー」です。
虫歯などで歯を削った後
詰め物や被せものをします。
その詰め物や被せ物はあなたのお体の中に入るものです。
あなたは今までに歯医者さんでこんな体験がおありになりませんか?
保険診療で虫歯の治療に使用する歯の詰め物には、「歯科用アマルガム」という水銀を50%含む金属や「金銀パラジウム合金」がこの日本では一般的に使われております。
保険診療が適応されるので、現在でも多くの歯科医院で普通に使用されています。
また、患者さんも保険が認めている治療ということは、厚生労働省が認可している材料なのでまさか危険なものはないだろう、
そう思われている方がほとんどです。
この歯科用アマルガムが日本で相当量売れている、という現実がある、
ということは、日本では一般的に使われている歯科材料、と言えるでしょう。
アマルガムが恐ろしいのは、口の中で金属が溶け出しどんどん水銀が広がっていくことです。
金銀パラジウム合金も同じです。
口の中には唾液があります。
その唾液が電解液として作用し、金属を溶かしていきます。
他にも、果実、野菜、コーヒー、お茶なども化学反応を引き起こす原因になります。
上下の歯が噛み合ったときの摩擦により金属のイオンが唾液の中に広がり、
さらに危険性は高まります。
そして時間とともにさらに金属が溶け始めます。
内臓に吸収され血流に乗って全身を巡ります。
取り込まれた金属イオンは体内のタンパク質と結合します。
このタンパク質と結合した物質を異常なものと認識した生体がアレルギー性をもつようになり、
次に同じ金属が体内に入ってタンパク質と結合すると皮膚や粘膜を破壊することが「金属アレルギーのメカニズム」といわれています。
掌、足の裏の「ただれ」「炎症」、「全身倦怠感」「肩こり」「めまい」「頭痛」「イライラ」などもこれら金属アレルギーが原因ではないか?
と最近では研究が行なわれています。
金属アレルギーの治療の第一歩は、原因の金属を突き止めることです。
そして口の中に原因の金属があれば早期に取り除くことです。
そうしない限り金属アレルギーの症状は治まりません。
そして取り除いた後はアレルギーを引き起こす可能性がない素材に置き換えなければいけません。
しかし、やりかえたとしても、決して元に戻ることはございません。
思い出して下さい。
先ほども申し上げました
「一度体内に取り込まれた金属は、体内から全てを取り出すことができない」
ということです。
体の中に金属を入れてしまってからでは、もう遅い、のです。
ここにも「知らなかった」から「こんなことになってしまった」という現実が、あるのです。
最近、患者さまからよく質問されることがあります。
「金属アレルギーで問題になっているアマルガム治療が自分の口の中にされており心配」
という内容です。
あまりにも多いご質問なので、
一度ここで私の考えについてお話させて頂きます。
近年マスコミでもアマルガム治療について、小さな水ぶくれが掌や足の裏にでき、皮膚が荒れてしまうだけでなく、
放っておくと、胸や首、腰などの骨や関節が激しい炎症を起こし、激痛をもたらすこともある恐ろしい病と大々的に取り上げられました。
金属アレルギー検査をされてみて、もし陽性反応がでているようであれば治療をされることをおすすめします。
日本ではアマルガム治療は、保険診療で認められており、現在も一般的な治療として使われています。
アマルガムは、銀、スズ、銅、少量の亜鉛、そして残りの40~50%が水銀で構成されています。
この治療には賛否両論あります。
アメリカ歯科医師会(ADA)は、アマルガムに含まれる水銀は「安全」である、としています。
それに対し、スウェーデンやドイツでは使用が禁止されており、イギリスでも妊婦さんへの使用には警告を発しています。
私自身、学生時代にはアマルガムから生じる水銀よりも、食物や空気から生じる水銀の量の方が多いことを教わりました。
しかし、これは実験室でのお話であって、このアマルガムの予後は歯科医師のいわゆる術者の腕によって、また口腔内の環境によって大きく左右されます。
このような理由から
私は吉本歯科医院では、虫歯治療に際し、「アマルガム治療」を行っておりません。
確かに症状の出ない患者さんの方が数は多いかもしれません。
しかし、
金属アレルギーは「なってから対策を考える」ことは、できないのです。
「なる前に防ぐ」ほうが、望ましいのです。
また「なってしまってからではもう遅い」のです。
それは先ほども申しましたとおり
「一度体内に取り込まれた金属は、体内から全てを取り出すことができない」
からです。
どうぞこれから歯科治療をお受けになられる方は、
治療を行う前に、
虫歯を削る前に、
お口の中に金属を入れる前に、
あなたの身体の中に入れる前に
この質問を歯科医師に投げかけて下さい。
「この歯科材料は金属アレルギーを引き起こす可能性がありますか?」と。
そうすると歯科医師はこんな選択をあなたに提案してくれると思います。
「保険の範囲内で治療を行う場合は、金属アレルギーを引き起こす可能性がある場合があります。
保険外診療であれば、セラミックや、チタンなど、金属アレルギーを引き起こさない材料も選べます。
どちらを選ばれますか?」と。
歯科材料に対して深い認識のある歯科医師であれば、必ず選択の余地を患者さんに与えてくれるはずです。
ただし、保険では認められていませんので、自由診療になります。
しかし、将来起こりうる金属アレルギーを引き起こす材料を使うのかどうなのか?
そのことを選ぶ権利は患者さんにあります。
残念ながらほとんどの方は
「そんなこと知らなかったし、聞かれもしなかった」
とおっしゃられます。
また、吉本歯科医院へお越しになられる患者さまは
「もし知っていたら、絶対にこんな治療を選択はしなかった」と。
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