見た目だけ良くなれいいのでしょうか?
「審美歯科」「歯を白くする治療」というと皆さまは一体どんなことを想像されますでしょうか?
「芸能人のような真っ白な歯にする」
「虫歯治療で入れた銀の被せ物や詰め物を白いものにやり換える」
「ホワイトニングの機械で歯を白くする」
「本物の歯のようなセラミックの被せ物をかぶせる」
といった見た目の美しさをまずは想像されるのではないでしょうか?
審美歯科=見た目の美しさであると、想像される方が多いと思います。
歯並びが良く歯が白くて美しいと確かに人に会った時に与える印象は格段に良くなります。
海外のビジネスマンは「歯並びが悪い」ことと「歯の色が汚れている」ことは自己管理ができていない、
自分に対する意識が低いと評価されてしまうことがあるのも事実です。
ですから日本においても患者の皆さまが
審美歯科治療において見た目の美しさを求めるのは「あたりまえ」です。
しかし、見た目だけの美しさだけを追求した結果、
悲惨な状態に陥ってしまっている患者様がいることも、事実です。
こんなことになるなら審美歯科治療なんてしなきゃよかった、
とおっしゃられる方も少なくはありません。
「歯の色」「歯並び」「噛み合わせ」に象徴されるように、
歯は見た目ばかりが気にされがちです。
しかしながら、
「噛むという本来の機能に勝る歯の役目」はありません。
どんな色でも、どんな歯並びでも、どんな噛み合わせでも、
よく噛めることが私たち人間にとっては最後まで重要なことなのです。
芸能人のような真っ白すぎる異常な白い歯でなくては嫌だ、とにかくまっすぐに揃った歯並びでないと美しくない
という間違った思い込みや不要なコンプレックスに惑わされて、
歯を白くする審美歯科治療をお受けになられることは大変危険です。
患者様は確かに見た目の美しさ、人前できれいに笑える白い歯を望んでおられます。
しかし前歯をすべて白い歯にやりかえた後、
顎が動かしにくくなったり、
頭痛や肩こりがひどくなってきたとしたらいかがでしょうか?
そんなことは「聞いていなかった」と後悔されたとしても、手遅れです。
歯の治療は何度もやりかえはできないのです。
「噛む」という本来の機能を犠牲にしてもいいのか?
白い歯にやりかえる時には健康な歯を小さく一層削り、
その上に接着材をつけ人工の白い歯に置き換える方法があります。
ここで知っておいて頂きたいことは一度削ってしまった歯は戻ってこない、ということです。
治療が終わり一時だけは白くなったご自分の歯に満足をお感じになっていても
こうした方法には実は大きな危険性があるのです。
ご自分の歯を削り人工の白い歯にやりかえた本数が多ければ多いほど
「噛み合わせの再現性」が難しくなります。
治療をする前は噛めていたのに、歯を白くする治療を受けた後、
以前噛めていたものが噛めなくなる、というご相談は少なくありません。
歯を白くしたいと見た目重視の審美歯科治療を受けてしまったために、
本来の歯の機能である「噛む」という機能が損なわれてしまったのでは何をしているのかわかりません。
本来の審美歯科は、外見の美しさはもちろんのこと、
機能的な美しさも同時に追求し、患者様に長い間安心していただけるような治療を提供することを目指すものです。
機能はとても重要なのです。
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吉本彰夫
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