
こんにちは。香川県高松市で咬み合わせと金属を使わない治療を専門とする「吉本歯科医院」院長の吉本彰夫です。
「同じ奥歯を、もう3回も治療しています。そのたびに詰め物が大きくなっています」
「銀歯が黒ずんできたので、そろそろ白いものにやり替えたいと思っています」
「昔治療した歯が、硬いものを噛んだときに欠けてしまいました」
このようなお悩みで来院される方が、当院には非常に多くいらっしゃいます。そして、そのほとんどの方が「悪くなったらまた治療すればいい」とお考えになっています。しかし実際に口の中を拝見すると、繰り返しの治療で歯がすでに薄く、もろくなっていて、次の治療に耐えられる歯質がほとんど残っていないことが少なくありません。
この記事では、なぜ治療を繰り返すと歯が薄くもろくなっていくのか、その先に何が待っているのか、そして当院が「次の治療」の前に確かめていることについてお話しします。
歯の治療は、何度もできるものではない
先にお伝えすると、歯は治療のたびに削り取られ、一度削った歯は元に戻らないからです。
被せ物や詰め物をやり替えるとき、あるいは外れたものをくっつけ直すとき、歯を大きく削る必要があるということは、あまり知られていません。「外して新しいものを入れるだけ」と思われがちですが、実際には、そのたびに歯を一層ずつ削っているのです。
初めて被せ物を入れたときには、接着剤でくっつけるためののり代(のりしろ)をつくるために、歯の外周を一層削っています。2回目のやり替えでは、古い被せ物を外したあと、新しいのり代をつくるためにもう一層。3回目にはさらに一層。こうして、治療のたびに歯は確実に減っていきます。
なぜ同じ歯を何度も治療することになるのか
同じ歯の治療を繰り返す背景には、詰め物や被せ物と歯の間にできる「隙間」があることが多いのです。
- 金銀パラジウム合金(保険の銀歯の材料)などの金属は、歯と一体化する接着ではなく、セメントで「留めている」状態に近く、境目に隙間ができやすい
- 金属は長い年月で少しずつ溶け出し、変形や腐食で境目がゆるんでくる
- 隙間から細菌が入り込み、詰め物の下で虫歯が再発する(二次虫歯)
- 再発した虫歯は外から見えにくく、気づいたときには大きく進んでいる
虫歯が再発するたびに、前より大きく削ることになります。以前の治療は、当時の判断としては一般的な処置だったと思われます。ただ、その材料の性質上、境目から再発しやすいという一面があったのです。
削るたびに、歯の中で何が起こっているのか
歯は削れば削るほど、歯の神経に近くなっていきます。そして残っている歯の根は、細く、薄くなっていきます。
金属で黒ずんだ部分を削り取る
銀歯の被せ物を外してみると、ご自身の歯の根に金属が溶け出して真っ黒になっていることがよくあります。白い材料に替えたい場合、この黒ずんだ部分はきれいに接着するために削り取らなくてはなりません。のり代の一層に加えて、黒ずみの分まで歯が減ることになります。
神経に近づき、しみたり痛んだりする
削った面が神経に近づくと、歯がしみたり、噛むと痛んだりし始めます。神経が痛み出すと、その時点で「歯の神経を取らないといけませんね」という診断になることが多いのです。神経を取った歯は栄養が届かなくなり、さらにもろくなります。
根が薄くなり、噛む力に耐えられなくなる
薄くなった歯の根は、噛んだときの衝撃で折れたり、長く持たなかったりします。何度もやり替えている方では、古い芯棒(金属の土台)を外すときに、パキッと根が割れてしまう方までいらっしゃいます。
根が割れてしまうと、どうなるのか
歯の根(歯根)が割れてしまったら、残念ながら、その歯は抜くしかなくなります。
「もう一回芯棒を立てて、被せ物ができるのではないか」とよくお尋ねいただきます。しかし、割れた根に芯棒を立てると、噛むたびに芯棒によって根が揺すられ、根のまわりの骨がどんどん溶けていきます。ですから、この場合は歯を抜かざるをえないのです。
「黒くなったら、そのとき白いものに替えればいい」「金属アレルギーが出たら、そのとき体に合う材料に替えればいい」と思ってしまいがちですが、繰り返しの治療で薄くなった歯には、やり替えに耐える力が残っていないことがあります。何度も治療を繰り返すことは、ご自身の歯を失う時期を早めてしまう可能性があるのです。
「次の治療」で歯を守るために知っておきたいこと
歯を長く残すためには、治療の回数そのものを減らすこと、つまり「再発を予防する治療」を選ぶことが大切です。そのために、材料を選ぶ前に次の点を確認していただきたいと思います。
- この材料を使うと、将来どのように変化していくのか
- 金属が溶け出す材料なのか、溶け出さない材料なのか
- 金属のような黒い色が出てくる材料なのか、出てこない材料なのか
- その材料は、全身に対してどのような影響を及ぼすのか、及ぼさないのか
- 金属アレルギーの可能性がある方にとって、金属アレルギーを起こさない材料なのか
セラミックやジルコニアのように、歯と化学的に接着できる材料を隙間なく修復できれば、境目からの虫歯の再発を予防し、次のやり替えまでの期間を長くすることができます。日本接着歯学会の接着歯科治療認定医として、当院が接着を重視しているのはこのためです。
当院が治療をやり直す前に確かめていること
当院では、「悪くなったからまた削って詰める」のではなく、その歯にあとどれくらいの歯質が残っているかを確かめてから、治療計画を立てています。
まず今入っている金属と歯の状態を確認します
レントゲンと口の中の確認で、詰め物・被せ物の種類、金属の土台の有無、詰め物の下の虫歯、残っている歯の厚み、根のひびの有無を調べます。これまでの治療回数もお聞きし、次の治療に耐えられる歯かどうかを判断します。
次に、咬み合わせ(力のかかり方)を調べます
薄くなった歯に強い力が集中していると、どんな材料を使っても割れやすくなります。噛む力のかかり方を調べ、必要に応じて調整したうえで、その歯に合った材料と形を選びます。
削る量を必要最小限におさえる方法を検討します
接着の技術を活かし、のり代のために削る量をできる限り少なくします。金属の土台が入っている場合は、ファイバーコアなど金属を使わない土台への変更を検討し、根が割れる危険性と黒ずみの再発を減らすことを考えます。
必要な方には金属アレルギーの検査をご案内します
皮膚や体の症状がある方には、当院の紹介状で香川県立中央病院皮膚科・高松赤十字病院皮膚科のパッチテスト(20項目)をご案内しています。チタンの検査は徳島大学病院をご紹介しています。結果をもとに、体に合う材料を選びます。
こんな方は一度ご相談ください
- 同じ歯を2回以上治療していて、そのたびに詰め物が大きくなっている
- 銀歯のまわりや歯の根元が黒ずんできた
- 治療した歯が、硬いものを噛んだときに欠けたことがある
- 神経を取った歯に金属の土台が入っている
- 被せ物が外れて、くっつけ直したことがある
- 詰め物や被せ物をした歯が、噛むと違和感や痛みがある
- 次に悪くなったら歯を残せないのではないか、と不安がある
ひとつでも当てはまる場合、原因は「歯みがき不足」だけではない可能性があります。
この記事のまとめ
✅ 被せ物や詰め物のやり替えのたびに、のり代をつくるために歯は一層ずつ削られ、削った歯は元に戻りません。
✅ 金属の詰め物・被せ物は境目に隙間ができやすく、その下で虫歯が再発することで、同じ歯の治療を繰り返すことになりやすいのです。
✅ 削るたびに歯は神経に近づき、根は細く薄くなり、噛む力で折れる危険性が高まります。根が割れると、抜くしかなくなります。
✅ 材料が溶け出すのか、色が出るのか、体に合うのかを知ったうえで選ぶことが、治療の回数を減らすことにつながります。
✅ 大切なのは、残っている歯の厚みと咬み合わせを確かめ、削る量を必要最小限におさえ、再発を予防する治療を選ぶことです。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 何回くらい治療を繰り返すと、歯は持たなくなるのですか。
A. 回数だけでは決まりません。元の虫歯の大きさ、削られた量、神経の有無、土台の種類、噛む力のかかり方によって、残っている歯の余力は一人ひとり違います。レントゲンで残っている歯の厚みを確認すれば、おおよその見通しをご説明できます。
Q2. 詰め物の境目が少し欠けただけなら、そのままでもいいですか。
A. 欠けた部分から細菌が入り、詰め物の下で虫歯が進むことがあります。痛みがなくても、早めに境目の状態を確認しておくほうが、結果として削る量を少なくできることが多いのです。
Q3. 黒ずんだ銀歯を白くしたいのですが、削る量が増えるのが心配です。
A. そのご心配はもっともです。当院では、外す前に残っている歯の厚みを確認し、削る量をどう最小限におさえるかをご説明します。歯の状態によっては、今は経過を見るという選択肢も含めて一緒に考えます。
Q4. 再発を予防する治療は、費用が高くなりますか。
A. 目安として、セラミックの詰め物は55,000〜77,000円、被せ物は110,000〜165,000円(いずれも税込)です。保険の治療より初期の費用は高くなりますが、やり替えの回数を減らせれば、長い目で見た歯への負担は小さくなります。初診の相談と検査は保険診療で受けられます。
Q5. 何度も治療してきた歯を見せるのが恥ずかしいのですが。
A. 恥ずかしがる必要はまったくありません。治療を繰り返してきたのは、材料の性質や当時の一般的な処置の結果であって、患者様の責任ではありません。今の状態を確かめて、これからどう守るかを一緒に考えるための相談です。
治療の繰り返しでお悩みの方へ
「同じ歯を何度も治療してきて、次に悪くなったらどうなるのか不安」
「黒ずんだ銀歯を白くしたいが、これ以上削って歯が持つのか知りたい」
香川県高松市をはじめ、徳島・愛媛・高知など四国各地から治療の繰り返しのお悩みを抱えた多くの患者様が、当院にご相談にいらっしゃいます。
当院では、今入っている金属の種類と状態、残っている歯の厚みと根の状態、咬み合わせの力のかかり方、必要に応じた皮膚科でのパッチテストの結果を確認してから治療計画を立てています。削る量を必要最小限におさえ、再発を予防し、体に合う材料を選ぶことを大切にしています。
院長の吉本彰夫は、(一社)日本歯科専門医機構認定の補綴歯科専門医、および(公社)日本補綴歯科学会認定の補綴歯科指導医です。
どうぞお一人で悩まずに、ネット予約または無料メール相談よりお気軽にご相談ください。


院長プロフィール
吉本歯科医院 院長 吉本彰夫
九州大学歯学部卒業
岡山大学大学院 歯学博士(平成17年3月)
(一社)日本歯科専門医機構認定 補綴歯科専門医
(公社)日本補綴歯科学会認定 補綴歯科指導医
咬み合わせと補綴(入れ歯・被せ物・インプラントなど)を専門分野として、日々の診療にあたっております。
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