
こんにちは。香川県高松市で咬み合わせと金属を使わない治療を専門とする「吉本歯科医院」院長の吉本彰夫です。
「10年以上前に治療した奥歯が、いつの間にか黒っぽくなってきました」
「銀歯の周りの歯茎だけが、他の場所より黒く見える気がします」
「白い被せ物にしたはずなのに、歯と歯茎の境目に黒い線が出てきました」
このようなお悩みで来院される方が、当院には非常に多くいらっしゃいます。そして、そのほとんどの方が「歯磨きが足りなくて汚れが付いたのだろう」とお考えになっています。しかし実際に口の中を拝見すると、汚れではなく、詰め物や被せ物に使われている金属が少しずつ溶け出し、歯や歯茎に色を残している状態であることが少なくありません。
今回は、過去に治療した歯や、その周りの歯茎がなぜ黒ずんでくるのか、その仕組みと、当院がやりかえの前に確かめていることをお話しします。
歯や歯茎が黒ずむ原因は「汚れ」ではなく「金属」であることが多い
結論から申し上げますと、治療した歯やその周りの歯茎が黒ずんでくる原因の多くは、口の中に入っている金属です。金属が唾液の中で少しずつ溶け出し、歯や歯茎の組織に入り込んで色を残すのです。
保険診療で使われる銀歯の材料は、金銀パラジウム合金(保険の銀歯の材料)と呼ばれる合金です。また、古い詰め物にはアマルガム(水銀を約50%含む合金)が使われていることもあります。これらの金属は、口の中という常に湿っていて温度も変わる環境に何年も置かれると、表面から金属イオンとなって溶け出していきます。
溶け出した金属イオンは、次のような場所に沈着します。
- 詰め物や被せ物の縁に接している歯の部分
- 被せ物の下に隠れている歯の根元
- 金属に近い歯茎の内側
歯茎が黒く見えるのは、歯茎の表面に色が付いたのではなく、歯茎の組織の中に金属が入り込んでいるためです。ですから、歯磨きやクリーニングで落とすことはできません。
なぜ「白い歯」にしたのに黒ずんでくるのですか?
見た目が白い被せ物でも、内側や土台に金属が使われていることがあるためです。
セラミックは陶器(お茶碗のような材質)ですので、そのままでは割れやすい面があります。そこで従来は、内側を金属で補強する「裏打ち」を行い、その上に白いセラミックを盛る方法が広く行われてきました。また、神経を取った歯には、被せ物を支えるための土台(コア)を入れますが、この土台に金属が使われていることも多いのです。
裏打ちや土台の金属は、口を開けても外からは見えません。しかし歯茎に接している部分や、歯の根の中で、少しずつ溶け出していきます。溶け出した金属が歯の根元を黒くし、そこに接する歯茎まで黒ずませていきます。「白くしたはずなのに黒くなってきた」というご相談の多くは、この見えない金属が原因です。
当時の治療としては一般的な処置であり、決して誰かのせいではありません。ただ、ご自身の歯にどんな材料が使われているのか、知る機会がなかっただけなのです。
黒ずみは歯茎が下がると目立ってくるのはなぜですか?
歯茎の位置が変わることで、隠れていた金属の縁や色の付いた歯の根元が見えてくるためです。
年齢とともに、また歯周病や強い咬み合わせの力によって、歯茎は少しずつ下がっていきます。被せ物を入れた当時は歯茎の中に隠れていた境目が、歯茎が下がることで外に出てくると、そこに沈着していた黒い色や、金属の縁がそのまま見えてしまいます。
特に前歯は、笑ったときに歯と歯茎の境目がよく見える場所です。「最近になって急に黒い線が気になり始めた」という方は、実際には何年もかけて進んでいた変化が、歯茎が下がったことで表に出てきたのだと考えられます。
黒ずみをそのままにしておくとどうなりますか?
色の問題だけであれば、すぐに体に害が出るわけではありません。しかし、黒ずみは「金属が溶け出している」という合図でもあります。
金属が溶け出しているということは、その金属が体の中に取り込まれ続けているということです。一度体内に入った金属は排出されにくく、人によっては手のひらや足の裏の水ぶくれ、治りにくい湿疹、舌のヒリヒリ感といった、口の中とは別の場所に症状が出ることがあります。
また、金属が溶けて詰め物や被せ物の縁に隙間ができると、そこから細菌が入り込み、中で虫歯が広がることがあります。表からは見えないため、気づいたときには神経の近くまで進んでいた、ということも少なくありません。
- 歯や歯茎の黒ずみが少しずつ広がっている
- 同じ歯が冷たいものにしみるようになった
- 詰め物の縁に舌が引っかかる感じがある
こうした変化がある場合は、色の問題として様子を見るのではなく、一度中の状態を確かめておくことをおすすめします。
当院が黒ずんだ歯のやりかえの前に確かめていること
黒ずみを目立たなくするために、すぐに削って白い歯に替えることはしません。同じことを繰り返さないために、当院では治療の前に次の3点を確かめています。
まず今入っている金属と歯の状態を確認します
レントゲン写真と口の中の診査で、被せ物の内側や土台にどんな金属が使われているか、金属の下の歯が虫歯になっていないか、歯の根に問題がないかを調べます。黒ずみの原因が裏打ちの金属なのか、土台の金属なのか、あるいは神経を取った歯そのものの変色なのかによって、進め方が変わるためです。
次に、咬み合わせ(力のかかり方)を調べます
特定の歯に強い力がかかっていると、詰め物の縁が壊れやすくなり、歯茎も下がりやすくなります。やりかえた後に同じ変化を繰り返さないために、力のかかり方を確かめたうえで材料の種類や形を決めます。
必要な方には金属アレルギーの検査をご案内します
皮膚の症状や体調の変化を伴う方には、当院の紹介状で香川県立中央病院皮膚科・高松赤十字病院皮膚科でのパッチテストをご案内しています。チタンの検査は徳島大学病院で受けることができます。検査の結果は、今後どの材料を選ぶかを決める大切な材料になります。
これらを確かめてから、削る量を必要最小限におさえ、再発を予防し、体に合う材料を選んだ治療計画をご提案しています。
こんな方は一度ご相談ください
- 過去に治療した歯が、年々黒っぽくなってきた
- 銀歯の周りの歯茎だけが黒ずんで見える
- 白い被せ物と歯茎の境目に黒い線が出てきた
- 歯磨きやクリーニングをしても黒ずみが取れない
- 黒ずんだ歯が冷たいものにしみる、または噛むと違和感がある
- 手のひらや足の裏に水ぶくれや治りにくい湿疹がある
- 白い歯にやりかえる前に、何が原因かを知っておきたい
ひとつでも当てはまる場合、原因は汚れや着色ではない可能性があります。
この記事のまとめ
✅ 治療した歯や歯茎の黒ずみは、汚れではなく、詰め物・被せ物・土台の金属が溶け出して沈着したものであることが多いのです。
✅ 見た目が白い被せ物でも、内側の裏打ちや土台に金属が使われていれば、そこから溶け出して歯や歯茎を黒くすることがあります。
✅ 歯茎が下がると、隠れていた境目の黒ずみや金属の縁が表に出てきて、急に目立ったように感じます。
✅ 黒ずみは金属が溶け出している合図であり、体への取り込みや、縁の隙間からの虫歯につながることもあります。
✅ 当院では、金属の種類と歯の状態、咬み合わせ、必要に応じたパッチテストを確かめてから、削る量を必要最小限におさえた治療計画を立てます。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 歯茎の黒ずみは、ホワイトニングやクリーニングで落とせますか?
A. 歯茎の組織の中に金属が入り込んでいる場合、表面のクリーニングやホワイトニングでは落とすことができません。まずは黒ずみの原因が金属によるものか、別の原因によるものかを診査で確かめることが先になります。
Q2. 黒ずんでいても痛くなければ、放っておいてよいですか?
A. 痛みがなくても、詰め物の縁に隙間ができて中で虫歯が進んでいることがあります。また金属が溶け出し続けている状態でもあります。様子を見る場合でも、一度レントゲン写真で中の状態を確認しておくことをおすすめします。
Q3. 白い被せ物にやりかえれば、黒ずみは消えますか?
A. 土台や裏打ちの金属を取り除き、金属を使わない材料に替えることで、新たな黒ずみの原因はなくなります。ただし、すでに歯茎の中に沈着した色がどこまで薄くなるかは状態によって異なります。診査のうえでご説明します。
Q4. やりかえの費用と回数はどのくらいかかりますか?
A. 金属を使わないセラミックの詰め物は税込55,000〜77,000円、被せ物は税込110,000〜165,000円が目安です。回数は、土台の金属の有無や神経の状態によって変わります。まず検査で今の状態を確かめてから、費用と回数をご説明します。
Q5. 前の歯医者さんに悪いと思って、相談しづらいのですが。
A. 当時の治療は、その時点では一般的な処置だったと思われます。誰かを責めるためではなく、これからの歯を守るために今の状態を知ることが目的ですので、どうぞ気兼ねなくご相談ください。
治療した歯や歯茎の黒ずみでお悩みの方へ
「昔の銀歯の周りが黒ずんできて、人前で笑いにくい」
「白い歯にしたのに、歯茎との境目が黒くなってきた」
香川県高松市をはじめ、徳島・愛媛・高知など四国各地から治療した歯や歯茎の黒ずみのお悩みを抱えた多くの患者様が、当院にご相談にいらっしゃいます。
当院では、今入っている金属の種類と状態、咬み合わせの力のかかり方、必要に応じた皮膚科でのパッチテストの結果を確認してから治療計画を立てます。削る量を必要最小限におさえ、再発を予防し、体に合う材料を選ぶことを大切にしています。
院長の吉本彰夫は、(一社)日本歯科専門医機構認定の補綴歯科専門医、および(公社)日本補綴歯科学会認定の補綴歯科指導医です。
どうぞお一人で悩まずに、ネット予約または無料メール相談よりお気軽にご相談ください。


院長プロフィール
吉本歯科医院 院長 吉本彰夫
九州大学歯学部卒業
岡山大学大学院 歯学博士(平成17年3月)
(一社)日本歯科専門医機構認定 補綴歯科専門医
(公社)日本補綴歯科学会認定 補綴歯科指導医
咬み合わせと補綴(入れ歯・被せ物・インプラントなど)を専門分野として、日々の診療にあたっております。
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