
こんにちは。香川県高松市で咬み合わせと金属を使わない治療を専門とする「吉本歯科医院」院長の吉本彰夫です。
「皮膚科で金属アレルギーかもしれないと言われたのですが、自分の歯に何の金属が入っているのかわかりません」
「若いころに治した奥歯が何本かあるのですが、銀歯なのかアマルガムなのか、聞いたことがありません」
「白い被せ物だから金属は入っていないと思っていたのですが、本当でしょうか」
このようなお悩みで来院される方が、当院には非常に多くいらっしゃいます。そして、そのほとんどの方が「銀色に見える歯だけが金属で、あとは金属と関係ない」とお考えになっています。しかし実際に口の中を拝見すると、白い被せ物の内側や、歯の根の中に入っている土台など、外からは見えない場所にも金属が使われていることが少なくありません。
今回は、お口の中に入っている可能性のある金属にはどんな種類があるのか、ご自身で確かめられること、歯科でしか確かめられないこと、そして当院が金属を調べるときに確認していることをお話しします。
口の中に入っている可能性のある金属にはどんなものがありますか?

日本で歯の治療に使われてきた金属は、大きく分けると4つに整理できます。それぞれ入っている場所も、含まれる成分も違います。
- 金銀パラジウム合金(保険の銀歯の材料):詰め物や被せ物として最も多く使われている金属です。「金パラ」と呼ばれ、パラジウムと銀を主成分に、銅やスズなどを混ぜた合金で、金はごくわずかしか含まれていません。
- アマルガム(古い詰め物):水銀を約50%含み、残りが銀・スズ・銅などでできた詰め物です。かつて虫歯治療で広く使われ、数十年前に治した奥歯に今も残っていることがあります。
- ニッケル・コバルト・クロムなどの合金:被せ物の裏打ちや土台などに使われることがあります。
- 金属の土台(メタルコア):神経を取った歯の中に立てる芯です。被せ物が白くても、その内側に銀合金の土台が入っていることがあります。
このほか、白い被せ物のなかにも、内側を金属で裏打ちしたもの(メタルボンド)があります。「白いから金属は入っていない」とは限らないのです。
見た目だけで、何の金属かわかりますか?

ある程度の目安はつきますが、見た目だけで種類を決めることはできません。
ご自身で鏡を見てわかることは、次のような点です。
- つやのある銀色の詰め物・被せ物は、金銀パラジウム合金であることが多い
- 表面が黒っぽく、つやのない灰色で、縁が欠けたりポツポツと小さな穴があいたりしている詰め物は、アマルガムの可能性がある
- 数十年前に治療した奥歯の小さな詰め物は、アマルガムであることが少なくない
- 白い歯でも、歯ぐきとの境目に黒っぽい線が見える場合は、内側に金属が使われている可能性がある
ただし、アマルガムと金銀パラジウム合金は、口の中で腐食が進むとどちらも黒ずんで見えることがあり、見た目だけでは区別がつきにくいことがあります。また、歯の中の土台や被せ物の裏打ちは、外からはまったく見えません。ですから、見た目は「あたりをつける」ための材料と考えていただき、種類の確認は診査で行うのが確実です。
治療を受けた歯科医院に確認する方法
過去に治療を受けた歯科医院がわかっている場合は、そこに問い合わせるのがひとつの方法です。
保険で治療を受けた場合、詰め物や被せ物の種類は診療の記録に残っています。「何年ごろに、どの歯に、どんな材料を入れたか」を教えてもらえることがあります。ただし、治療から長い年月がたっている場合や、医院が閉院している場合は、記録をたどれないこともあります。
また、ご自身の記憶も手がかりになります。「保険で治した」「自費で白い歯にした」「差し歯にした」といった情報があれば、入っている金属の種類をある程度しぼり込めます。初診のときにお話しいただければ、診査の助けになります。
レントゲンで金属はどう見えますか?

レントゲン写真では、硬いものは白く、柔らかいものは黒く写ります。金属はとても硬いため、真っ白に写ります。
この性質を使うと、外からは見えない金属も確認できます。

- 被せ物の内側に金属の裏打ちがあるかどうか
- 歯の根の中に、白く細長い影として金属の土台が入っているかどうか
- どの歯に、いくつの金属が入っているか
「白い歯なのに中に金属が入っていた」というのは、レントゲンを見て初めてわかることが少なくありません。
一方で、注意していただきたい点があります。金属は真っ白に写るため、その真下の歯の状態は金属に隠れて読み取りにくくなります。銀歯の下で虫歯が広がっていても、わかりにくいことがあるのです。当院では、金属の縁に沿った黒い影がないか、根の先に変化がないかを、角度を変えて確認しています。
なお、レントゲンだけで金属の「種類」まで断定することはできません。金属の種類は、見た目・レントゲン・治療の記録・実際に外したときの状態を組み合わせて判断します。
金属の種類を調べるのは何のためですか?

金属アレルギーの検査結果と、お口の中の金属を照らし合わせるためです。
当院が紹介状でご案内している歯科金属のパッチテストは20項目あります。パラジウム、金、銀、銅、亜鉛、スズなどは金銀パラジウム合金の成分、水銀やスズはアマルガムの成分、ニッケル・コバルト・クロムは被せ物の裏打ちや土台に使われることがある金属です。
検査でたとえばパラジウムに陽性が出たとします。しかし、お口の中のどの歯にパラジウムが入っているかがわからなければ、どこから治療を始めればよいのか判断できません。反対に、陽性が出た金属が口の中に入っていなければ、歯の治療で症状が変わることは期待しにくいのです。
つまり「何の金属が入っているか」を調べることは、検査結果を治療に生かすための土台になります。検査を受ける前に、歯科の診査で口の中の金属を把握しておく理由はここにあります。
当院が口の中の金属を調べるときに確かめていること
当院では、「銀歯があるから外す」という順番では進めません。まず今のお口の状態を診断してから、治療計画を立てています。
まず今入っている金属と歯の状態を確認します
口の中の診査とレントゲン写真で、どの歯にどんな金属が入っているか、被せ物の内側や土台に隠れた金属がないか、金属の下に虫歯や根の病変がないかを確認します。見えている銀歯だけでなく、白い歯の中の金属も含めて把握します。あわせて、腐食の程度や周りの黒ずみ、歯がどれだけ残っているかも調べます。
次に、咬み合わせ(力のかかり方)を調べます
金属を外した後に入れる材料は、その歯にかかる力に耐えられるものである必要があります。噛んだときにどの歯が先に当たるか、歯ぎしりや食いしばりの跡がないかを調べ、力が集中している場所を確かめておきます。材料だけでなく、噛む力のかかり方まで確かめてから治療計画を立てるのが当院の考え方です。
必要な方には金属アレルギーの検査をご案内します
皮膚や体調の症状がある方には、当院の紹介状で香川県立中央病院皮膚科・高松赤十字病院皮膚科のパッチテスト(20項目)をご案内しています。チタンアレルギーの検査は徳島大学病院をご紹介しています。結果と口の中の金属を照らし合わせ、外す優先順位と次に選ぶ材料を決めます。
これらを確かめたうえで、削る量を必要最小限におさえ、再発を予防し、体に合う材料を選ぶ治療計画をご提案しています。
こんな方は一度ご相談ください
- 皮膚科で金属アレルギーの可能性を指摘され、歯の金属を調べたいと言われた
- 口の中に銀色の詰め物や被せ物が複数あるが、何の金属かわからない
- 数十年前に治療した奥歯に、黒っぽくつやのない詰め物がある
- 白い被せ物の歯の根元が、黒っぽく見えてきた
- 神経を取った歯に差し歯が入っているが、土台の材料を聞いたことがない
- 手や顔の湿疹、舌のヒリヒリ、口の中の金属の味が続いている
- 金属を外したいが、どの歯から手をつければよいのかわからない
ひとつでも当てはまる場合、原因は目に見えている銀歯だけではない可能性があります。
この記事のまとめ
✅ 口の中に入っている可能性のある金属は、金銀パラジウム合金・アマルガム・ニッケルやコバルトなどの合金・金属の土台の4つに整理できます。
✅ 見た目である程度の目安はつきますが、腐食した金属や白い歯の中の金属は、見た目だけでは判断できません。
✅ レントゲンでは金属が真っ白に写るため、被せ物の裏打ちや根の中の土台も確認できます。ただし金属の下の虫歯は見えにくくなります。
✅ 金属の種類を把握しておくと、パッチテスト(20項目)の結果とお口の中の金属を照らし合わせ、治療の順番を決めることができます。
✅ 当院では、金属の種類と状態、咬み合わせの力のかかり方、必要に応じた皮膚科の検査を確かめてから治療計画を立てています。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 自分で鏡を見て、アマルガムかどうか見分けられますか?
A. 黒っぽくつやのない灰色で、縁が欠けたり小さな穴があいたりしている古い詰め物は、アマルガムの可能性があります。ただし腐食した金銀パラジウム合金も黒ずむことがあり、見た目だけでは区別がつきにくいものです。まず診査で確かめることをおすすめします。
Q2. 血液検査で歯の金属アレルギーはわかりますか?
A. 歯科の金属アレルギーは、時間をかけて反応が出る遅延型が中心のため、血液検査ではなく、皮膚に金属の試薬を貼るパッチテストで調べます。検査の前に、口の中にどの金属が入っているかを歯科で確認しておくと、結果を治療に生かしやすくなります。
Q3. 何の金属が入っているかわからないまま放っておくと、どうなりますか?
A. 金属は口の中で少しずつ腐食し、溶け出した成分が体に取り込まれることがあります。また、金属の下で虫歯が再発していても気づきにくい状態が続きます。症状がなくても、一度金属の種類と状態を確かめておくことには意味があります。
Q4. 金属を調べるだけの相談でも受診できますか?
A. できます。初診では口の中の診査とレントゲン写真で、どの歯にどんな金属が入っているかを把握し、咬み合わせの状態とあわせてご説明します。その場ですぐに外すことはせず、状態を確かめてから今後の進め方を一緒に考えます。
Q5. 昔の治療の記録が残っていなくても調べられますか?
A. 記録がなくても、見た目・レントゲン・ご本人の記憶を組み合わせて、入っている金属をしぼり込むことができます。種類が確定できない場合でも、腐食や虫歯の有無、咬み合わせの状態から、確かめる順番を決めることは可能です。
口の中の金属でお悩みの方へ
「自分の歯に何の金属が入っているのか、一度きちんと知っておきたい」
「金属アレルギーの検査を受ける前に、口の中を調べておいたほうがいいと言われた」
香川県高松市をはじめ、徳島・愛媛・高知など四国各地から口の中の金属のお悩みを抱えた多くの患者様が、当院にご相談にいらっしゃいます。
当院では、今入っている金属の種類と状態、咬み合わせの力のかかり方、必要に応じて皮膚科でのパッチテストの結果を確認してから治療計画を立てています。削る量を必要最小限におさえ、再発を予防し、体に合う材料を選ぶことを大切にしています。
院長の私は、(一社)日本歯科専門医機構認定の補綴歯科専門医、および(公社)日本補綴歯科学会認定の補綴歯科指導医として、材料と咬み合わせの両面から診断を行っています。
どうぞお一人で悩まずに、ネット予約または無料メール相談よりお気軽にご相談ください。


院長プロフィール
吉本歯科医院 院長 吉本彰夫
九州大学歯学部卒業
岡山大学大学院 歯学博士(平成17年3月)
(一社)日本歯科専門医機構認定 補綴歯科専門医
(公社)日本補綴歯科学会認定 補綴歯科指導医
咬み合わせと補綴(入れ歯・被せ物・インプラントなど)を専門分野として、日々の診療にあたっております。
More from my site
吉本彰夫
最新記事 by 吉本彰夫 (全て見る)
- 銀歯が取れた・欠けたときに疑う咬み合わせの力 - 2026年10月3日
- 自分の口に何の金属が入っているか調べる方法 - 2026年10月1日
- 銀歯を白いセラミックインレーに替える前に知ること - 2025年4月25日






