歯科治療の詰め物 あなたは何を選びますか?
歯科治療に使う詰め物、被せ物についてお話させて下さい。
学生時代に戻り、理科の授業を思い出して頂ければと思います。
日本人の多くの歯の治療に使われている「金属」についてです。
金属の性質とは?
①たたけば伸びる
②溶かして形を変えることができる
③いろいろな金属と混ぜ合わせ合金を作ることができる
④電流が流れる
⑤錆びたり腐蝕しやすい
歯科では多くの金属を使用します。
歯の被せ物、
歯の詰め物、
差し歯に使う心棒、など。
私たちが「噛む」という行為には何10~100kg単位の力がかかるため、
噛む力耐えうる材質というのはどうしても限られます。
特に、保険で認められるものの多くは金属性です。
そして、保険で認められている金属はほぼ「金銀パラジウム合金」通称「金パラ」というものです。
それ以外の高価な金属は、ぜいたく品なため、保険では使用が認められていません。
ではこの「金属パラジウム(金パラ)」とはいったいどんな金属だと思いますか?
それは、いろんな金属を混ぜて作った「合金」なのです。
この合金のうち70%以上が「パラジウム」です。
このパラジウムは、腐蝕しやすく、また金属アレルギーを引き起こしやすい金属でもあります。
あとの30パーセントのうちのほとんどが腐蝕、酸化しやすい「銀」です。
「金」は実際にはほんのわずかしか含まれていません。
つまり、まとめるとこれらの混ぜものである「金パラ」は、
腐食しやすく、アレルギーになりやすいとっても残念な金属・・・ということになります。
ではなぜこんな金属を日本では保険で扱っているのでしょう?
それは、戦後のものが無い時代に、割と安価に作れた金属だったからで、物価も流通も全く代わったこの21世紀においても、その頃と保険制度がほとんど変わっていないため、日本では未だにこの金属しか保険では選択できないのです。
ちなみに欧米の歯科先進国ではこの金属はもうほとんど使われていません。
下に写真をお載せします。
またもう一つのお写真もご覧下さい。
これは両方とも5年程度空気中で経過したものです。
最近では、日本でもようやく、なるべくメタルフリー、つまり金属以外のなるべく害の少ない材質をつかって歯を修復しようという流れにはなってきています。
しかし、保険制度はその源泉のお金が常時不足しているため、なかなかそれに追いついてはくれていないのが現状です。
一度体に吸収されてしまった金属はなかなか対外に排泄はされません。
また、一度被せ物や詰め物をしてしまうと、改めて作り直すときにはまた歯を削らなくてはなりません。
歯科で詰め物や被せ物を作られるときは、将来のご自身のお体のことも考えて材質をお選びください。
一度体内に取り込まれた金属は取り出すことが難しいのです。
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吉本彰夫
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