歯の治療、どうして左右同時に治療しないか?理由をお話します。
香川県高松市のかみあわせ専門歯科医院
吉本歯科医院の吉本彰夫です。
歯の治療は早く終わって欲しい。
1回で何本も同時に治療してくれたらいい。
そう、お考えなられる方は多くいらっしゃいます。
私は、基本的には
右と左と同時に治療は
行ってはおりません。
理由をお話します。
イメージしてみてください。
あなたが椅子に座っています。
椅子の足は
4本あると
思ってください。
4本の足で支えられた椅子に
座っていると思ってください。
どっしりと。
では、次に
椅子の足の1本が壊れてしまい
交換しないといけない
ということをイメージしてみてください。
座ったままの状態で
その1本を外したら
どうなるでしょうか。
ガタッと崩れて
しまいますよね。
ましてや座ったままの状態で
足を1本外すとガタンと
崩れてしまいます。
高さをキープしたまま、
保持したまま
維持したまま、
そこの部分を直す、
という治療、
実はとても難しいのです。
さらには力が掛かっている場合に、
そこは更に
傾きが強く
なりますので、
さらに難しくなります。
では次に
4本の足の内の2本が交換しないといけない時
どうでしょうか?
1本の足を直すのも大変だったのに
2本同時に交換すると
ガタンと一気に崩れます。
そして2本を交換しようとしても
安定するところが
見つかりませんよね。
1本の足を交換する時には
3本の足でカメラの3脚のように
ある程度高さを維持できていますので、
それに合わせた長さのものを
入れてあげればいいです。
しかし
2本同時に外した場合
には
確かに残り2本とまったく同じ長さの2本が入ったら
元通りの高さになります。
しかしながら
短い2本の足を修理して入れたとしても
実は安定するんです。
傾いたままですが。
これってどうでしょうか。
右足と左足でヒールの
長さが違う靴を履いている
ようなイメージになります。
ではどの長さが正しい長さなのか、
どの高さが正しい高さなのか、
実は模型上ではよくわからなくなってしまうのです。
特に人が座っている椅子で
座ったまま直すことは、
難しいですよね。
つまり
力がかかってはいけない
のです。
噛み合わせをとる時に
「はい、噛んで下さい」
「噛む位置関係を記録しますね」
と言って、噛む高さを記録します。
これを専門用語では
「咬合採得」や
「バイト」といいます。
「噛んで下さい」と言う時に、
噛んで高さの記録を取る時に、
ググッとそこで噛み込んでは
実はいけないのです。
ググッと噛み込むと
ずれてしまうのです。
しかし、
そんなこと分からないですよね。
実際、患者さんには
ご自分では意識できないことが
ほとんどです。
ましてや
歯を失われて長年期間が経たれた方の場合には
もっと分かりません。
元々どこで噛んでいた
かなんて分かるはずもないのです。
そして、
2本崩れた場合は
1本の時とは比較にならないほど
実は難しくなるのです。
正しい位置に戻らない可能性が
高くなってしまうのです。
治ったとしてもそのずれているということに
気付かなくなっている可能性まであるのです。
左右だったらどうでしょうか?
もっと分からなくなります。
左右の足の前に
3本の足を修理するとしたら
だったらどうでしょうか。
左右に渡ってしまいますので、
もっと分からなくなります。
4本同時だったら
高さそのものがまったく
基準がなくなって
しまいます。
つまり歯の治療というのは、
そのように椅子の足を何本交換するのか、
とほぼ同じ考えで簡単に考えていただくと
分かりやすいと思います。
同時に何本もの歯を治療してしまうと
実は
噛み合わせの高さが
簡単に変わってしまう
のです。
歯の治療は
右と左と同時に治療をしてはいけない
という理由です。
左の歯を治療中に、今度は右の歯が痛んできた、しみてきた。
右の歯を治療中に、今度は左の歯が痛んできた、しみてきた。
右の歯の治療していると、左の歯が欠けた、詰め物がとれた。
左の歯の治療をしていると、右の歯が欠けた、詰め物がとれた。
こういうことが、おありになった方は
どうぞご相談下さいね。
原因を突き止めることで
無駄な治療をしなくてすみます。
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吉本彰夫
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